地頭がいいってどういうことか?脳科学的な解説

2019年5月29日

地頭って何?

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それでは本題ですが「あいつは地頭がいい」ってよく言いますよね。

けど地頭って結局のところ何なのかよくわからないまま使っている人がほとんどだと思います。僕自身もずっと「地頭って何なのか?」っていうのが気になっていて、それがひとつのきっかけで脳について勉強し始めた部分があります。

地頭とはワーキングメモリのことである

これまで脳科学・心理学のことを調べてきての結論ですが、地頭とはワーキングメモリのことである、と自分の中では結論がつきました。今日はそのワーキングメモリとは何かというのを説明していきたいと思います。

ワーキングメモリってそもそも何?

ワーキングメモリを聞いたことがない人もいると思いますが、聞いたことがある人でもその概念を正確に理解している人は少ないと思います。

ワーキングメモリとは何か簡単にいうと「短期記憶と認知的処理を同時に支えるシステム」のことになります。よくわからないかもしれません。

まず、短期記憶というのは文字どおり、電話番号や文字列や視覚情報なんかを、単純に少しの間覚えておくことです。

ちょっと想像して欲しいんですが、電話番号(11桁の数字)を短期記憶したまま、本を読むって可能でしょうか?難しいですよね。少なくとも理解度やスピードは落ちると思います。

このように、短期記憶と認知的処理(この例では読解)っていうのは互いに独立してはいません。そこでバッドリーという心理学者は「脳には短期記憶や認知的処理を同時にささえるシステムがあり、その資源には限界がある」といい、そのシステムをワーキングメモリと名付けました。

ワーキングメモリは私たちがするほとんどのことに必要

ワーキングメモリは様々なことに関わってきます。

例えば本を読むこと。本を読んで理解するためには、登場人物の名前や専門用語などを短期記憶しておく必要があるし、大事な情報には注意を向け、大事でない情報には注意を割かないなどの認知処理が必要になります。

暗算なども、頭の中に一時的に数字を覚えておいて、それを処理するという意味でワーキングメモリを必要とします。

また、単語を覚えるという行為に関しても、正確にその単語の文字列や音情報を短期記憶に保持できるかどうかが、その後の長期記憶力に影響してきます。

ワーキングメモリには個人差がある

そして重要なことですが、ワーキングメモリには個人差があります。1990年代の研究ですが、ワーキングメモリと大学入試の点数の関係を調べた人がいます。そのテストはACTと呼ばれるものですが、日本でいうセンター試験のようなもので、英語・数学・読解・科学の4科目に分かれています。この研究によると、ワーキングメモリに優れているほど、すべての科目の点数が高い傾向にあることがわかりました。

文献→Jurden, F. H. Individual Differences in Working Memory and Complex Cognition. J. Educ. Psychol. 87, 93–102 (1995).

また、ワーキングメモリの欠如はADHDや学習障害の原因のひとつだとも考えられています。さらに意外なことに、運動にさえワーキングメモリは関わってくるようです。発達性協調運動障害ではボタンをかけたりする細かな運動や、ボールを投げるという大きな運動を器用に行えない障害ですが、これには視覚のワーキングメモリが重要なようです。

これらの事実から「ワーキングメモリが得意な人ほど地頭がいい」というのは不自然なことではないでしょう。

ワーキングメモリって鍛えられるか?

ここまでで、ワーキングメモリが地頭であるという私の意見については何となく伝わったでしょうか。そうなると、ワーキングメモリって鍛える方法ないの?っていうのが気になると思います。これについては最近研究が進んでいます。最近の研究の2つのアプローチについて紹介します。

ワーキングメモリトレーニング

ひとつ目がワーキングメモリが必要な課題をおこなってワーキングメモリを鍛えようとするアプローチ。その課題というのは”Dual-n-back”というもの。

文献→Jaeggi, S. M., Buschkuehl, M., Jonides, J. & Perrig, W. J. Improving fluid intelligence with training on working memory. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 105, 6829–6833 (2008).

19日間、1日15分間のトレーニングをするだけでワーキングメモリ容量が増え、IQまで上昇したという。

Dual-n-backアプリはiPhoneの場合2つほど出ていて、一つはメンタリストのDaiGoが監修しているDNBというもの、もう一つは”Dual N-Back: Brain Training”というタイトルのもの。

どちらも一長一短で、一つ目のDNBは若干使いづらい。まずアルファベットのフォントが見づらいのと、途中でやめる時はアプリを落とさなきゃいけない。まあ大した不満ではないけど。二つ目の方は上記の研究に準拠したものでやりやすいのだが、音を出す必要があるので屋外でやるときに不便という欠点がある。

たった19日間でIQが5も上がるのだからやらない手はない。

ニューロフィードバック

もうひとつのアプローチはニューロフィードバックというもの。これは何かというと、簡単にいうと脳波を変化させるもの。

そんなマッドなことどうすれば可能になるのかというと、意外とシステムは単純。自分の脳波(例えばアルファ波)をコンピュータでリアルタイムに計算する。その脳波が強くなったら音が大きくなり、脳波が弱くなったら音が小さくなるなどというふうにしておくと、自分の脳波がどのような時にどうなっているのかがだんだんとわかってくる。これをひたすら繰り返すことで、ある程度自分の脳波をコントロールできるようになる。

これを使って、ワーキングメモリが得意な人の脳波の状態に近づけようというのが、ニューロフィードバックによるアプローチ。

今の所よく行われているのはアルファ波を強化するもの。たとえばHsuehらによる2016年の研究では、一応ワーキングメモリ向上に効果があったという。

文献→Hsueh, J. J., Chen, T. S., Chen, J. J. & Shaw, F. Z. Neurofeedback training of EEG alpha rhythm enhances episodic and working memory. Hum. Brain Mapp. 37, 2662–2675 (2016).

ただ、効果は限定的で、今後の改良は必要だろう。

結論:地頭はワーキングメモリと表裏一体であり、鍛えることもできる

ということで、地頭って何かといったら、ワーキングメモリが地頭だと言いたい。そして鍛えることも可能だから、その重要性を鑑みてもぜひ気分転換にでもやってみたらどうだろう。

P.S.気づいたら文体がですます調からだである調に変わってしまうのどうにかしたい。

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